真珠を深く知るための用語説明
核
米国などの淡水産2枚貝の貝殻真珠層を丸く削って作った玉で、真珠の中心にあり、真珠の大きさを決める最大の要因。アコヤ真珠用としては、直径が2ミリ近いものから9ミリを越えるものもある。
ピース(外套膜の切片)
外套膜(貝殻を作っている器官)を小さく切ったもので核とともに母貝の体内に入れる。この外套膜の切片は核のまわりに袋状に広がり、真珠袋を形成して核に対して炭酸カルシウムの結晶(つまりは貝殻の内側の光っているもの)を積み重ねてゆき、これが真珠となる。核が無くても真珠袋ができれば真珠はできる。
真珠層
真珠袋によって作られた核のまわりの炭酸カルシウムの結晶 (アラゴナイト結晶)の重なりのことで、真珠の表面に当たった光は中を透過しながら屈折と反射を各層において繰り返す。これによりまるで内側からも光っているように見え、美しい干渉色を発する(多層膜干渉という現象)。真珠の輝きの主因。
アラゴナイト結晶
真珠層を形成する炭酸カルシウムの結晶。六角形の薄い板状(アラゴナイト型)で1枚の厚さが1万分の3.5~4ミリ前後と薄く、コンキオリンという蛋白質のシートをはさんで重なり、厚い層となっている。この結晶一枚の厚さが真珠の干渉色に影響する。
コンキオリン
アラゴナイト結晶をつなぐ硬蛋白質(水に溶けず、酵素にも分解されにくい蛋白質)。これが多いとアコヤ真珠の場合黄色が強くなりやすい。わずかな水分を含んでおり急速に乾燥すると輝きを失う原因となる。
浜揚げ珠(はまあげだま)
真珠母貝から取り出して表面を洗っただけの無加工の真珠。この状態で愛媛県漁協などの浜揚げ珠入札会に出品され、各メーカーに販売される。
花珠(はなだま)
本来は生産者の言葉で、ラウンド(真円)、無傷で巻きが非常に厚く、すばらしいテリのある、好ましい色(薄いピンク)を発色するトップクラスの浜揚げ珠のこと。統一基準は無く、販売店や民間鑑別機関が独自の判断で呼称している。
ルース(ばら珠)
金具などをつける前のバラ珠のこと。直径を通常0.5ミリ間隔で標記している。大きい珠は一個ずつ実測値を表示している。
選別
形・きず・巻き・てり・色などを見て同じ品質に選別すること。真珠にはひとつひとつ個性があるため、高度な技術を要する。
連組
選別された両穴珠を糸を通して通糸連にすること。端を小さく真ん中を大きくしバランスを考慮して通常40cmに組む。
連相(マッチング)
ネックレスの珠の色・テリなど品質の揃いかた。選別と連組の技術が高くないと連相が悪くなる。あえて連の中にまったく違う色を入れてデザインしているネックレス(マルチカラー)もある。
通糸連(つうしれん)
連組されたネックレスでクラスプ(金具)をつける前のもの。
ロット
同じ品質の通糸連のたばやルースの集まり。
クラスプ
通糸連につけるネックレスの留め金具で、様々な種類がある。
ユニフォーム
真珠のサイズ差が0.5mm以内の真珠で組まれた基本となるネックレス(例7.0mm以上7.5mm未満)。留め具を含まない真珠だけの長さで呼び方が変わる。
グラデーション
ネックレスの中央の珠を一番大きい珠として端に行くほど小さくすること。ユニフォームより珠の大きさの差が大きいネックレス。
取り珠
長さを調節するためネックレスから珠を取って短くすること。
珠足し
ネックレスを長くするために珠を加えること。
糸組
GPT(高密度ポリエチレン)・テトロン・ナイロン・絹糸などを通してネックレスにすること。
ステンレスワイヤー 組
ステンレスワイヤーを通してネックレスにすること。伸縮性が無いため、ラインが硬くなるので通常柔らかいラインを出すためにシリコンラバーの小さいクッションを珠と珠の間に入れる。
オールノット
全ての珠と珠の間に結び目を入れる組方。もし糸が切れても失う珠が最小限で済む。珠と珠の間にすきまができることで敬遠され、切れにくい糸の登場で少なくなった。
鑑別書
宝石が本物か偽物かを鑑別して表示した書類。真珠製品の場合、鑑別した真珠製品の写真とともに真珠の種類・珠の大きさ・金具の金性(14金か18金か等)・加工(染めとか放射線照射とか)の有無等を表示している。
鑑定書
宝石を鑑別した上に品質を評価した書類。ダイヤモンドのグレーディング(4C)が有名。
エンハンスメント(改良)
真珠が有する潜在的な美しさを引き出す目的で一般的に行なわれている軽度な処理で、加温・染み抜き・調色がある。
トリートメント(改変)
真珠が有する本来の性質とは関係なく、人工的に色や外観を改変する強い加工で、染色・放射線照射などがある。
形の種類
ケシ
芥子つぶのように小さい真珠で養殖の副産物として自然にできたものや挿入したピースが核から離れてできたものがある。現在は無核の自然にできた真珠全般を云いシロチョウ真珠のケシのように大きいものもある。